理事長コラム
- 2018/02/24
- 2018/01/24
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年金問題
政府が平成30年1月17日に新たな高齢社会対策大網案に公的年金の70才超での受け取れる制度改正が検討されています。 これにより少子高齢化や若い人たちの働く人口が減少する中で高齢者の就業が促進されるかもしれません。
①60才以上の人の意識調査(2013年版)
女性と高齢者の就業を促進することの取り組みとなります。60才以上の43.2%が70才以降も働きたいという調査結果からも、十分な環境と待遇が整えられれば高齢者はもっと数多く働くようになると思われます。
年金受け取り開始を遅らせることは次世代への年金負担を減らすことになり、かつ将来の年金の20%減を回避する方法になるかもしれません。年金の20%減額分は消費税の1%に匹敵します。将来の消費税の増税も視野に入れる必要があります。
いつまで働きたいか60才まで働きたい 11.8% 65才まで働きたい 21.4% 70才まで働きたい 23.6% 70才からも働きたい 43.2%
②就業者比率(男性)(2016年労働者調査)(男性) (女性) 60才~64才 76.8% 50.8% 65才~69才 53.0% 33.3% 70才~74才 32.5% 18.8% 75才以上 13.5% 5.6%
③年金受給の引き上げ、引下げによる減額、増額率(月額)60才 △30% 61才 △24% 62才 △18% 63才 △12% 64才 △6% 65才 0% 66才 8.4% 67才 16.8% 68才 25.2% 69才 33.6% 70才 42% - 2017/12/24
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介護報酬改訂に関して
政府は介護保険サービスの介護報酬を平成30年度から0.54%引き上げることになりました。 平成12年(2000年)に介護保険制度が始まってから、3年に一度の介護報酬の改訂率の推移は以下のようになっています。
平成15年(2003年)△2.3%
平成18年(3006年)△2.4%(平成17年改定を含める)
平成21年(2009年)+3.0%
平成24年(2012年)+1.2%
平成27年(2015年)△2.27%
平成30年(2018年)+0.54%見込み
上記6回の改定率のプラスマイナスはトータルで△2.23となりました。
介護報酬は原則3年に一度、厚労省が介護サービスの内容や価格を改めることになっています。平成27年度は平成12年(2000年)に介護報酬制度がスタートして以来の大きな見直しとなりました。平成26年度(2014年度)と比較して平成29年度(2017年度)は厚生労働省が行った介護事業経営実態調査で、特別養護老人ホーム部門では収支差率が8.7%から1.6%に激減し、全国の特養の33%は赤字経営におちいっている状況がわかりました。その結果を今年の10月26日に厚労省が公表しました。
この調査は平成30年度(2018年度)の介護報酬改定の重要な指標となるため、来年の改訂は0.54%のプラスとなりました。同時改訂となる診療報酬も医師や薬剤師の技術料にあたる本体部分は0.55%引き上げとなりました。又、全産業の月額平均賃金は約30.5万円ですが、介護業界は月額平均賃金は約21.5万円でその差は約9万円です。この差を埋めるために平成31年(2019年)10月に消費税2パーセントを引き上げると同時に約1000億円規模の予算をたてて、勤続10年以上の介護福祉士に月8万円の給与の引き上げと処遇改善を行う予定となっています。
これにより、現場を長く支えてくれる専門性の高い人材を優遇することで、介護業界を目指す人や介護の離職率の低下に役立つと思います。安倍晋三首相が介護職員のさらなる処遇改善を図り、「介護離職ゼロ」の公約を守る事になりました。これによりやっと他産業との賃金格差がなくなり、2025年に約38万人の介護職の不足に対して光が見えてきた気がします。 - 2017/11/24
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年間行事
セントポーリア愛の郷では、ご家族をご招待する行事を4月から11月まで実施しております。4月は若葉を眺める会、5月は母の日会、6月は父の日会、7月は七夕会、8月は納涼大会、9月は敬老の日会、10月は秋祭り会、11月は文化発表会となっております。参加者は毎回150名前後で、施設の駐車場がいつも満車となります。行事食はお弁当が多いですが、4月のスタートと締めくくりの11月の文化発表会は寿司職人による寿司バイキングとなっており、最も人気のあるお食事となっております。
今年の文化発表会は音楽療法士が発表者のご入居者と練習に練習を重ねて、楽器を使った演奏と歌をご披露しました。見事な演奏と歌に観客のご家族やご入居者から拍手が鳴りやまない程でした。ご入居者、発表者、ご家族、職員が一体となった、素晴らしい発表会となりました。感謝感激の一日でした。
この後、行事は12月の餅つき大会、クリスマス会、正月三が日のお祝い、1月の新年祝賀会、2月の節分会、3月のひな祭り会と続いていきます。ただ、12月1日から3月31日はインフルエンザの季節で、大勢の方が一堂に会する行事は行っておらず、ご家族には高校生以下の面会はご遠慮いただく等のお願いをしております。今年も行事の締めくくりの11月が来て、1年の経つ早さに驚いております。 - 2017/10/24
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平成29年度西宮すみれ台秋祭り
今年も恒例の西宮すみれ台秋祭りが平成29年10月15日(日)に開催されました。あいにくの雨でしたが、自治会館の弐番館の庭に、数張りのテントを張って、屋台が設置され、お好み焼きやたこ焼きが販売されていました。子供向けのゲームもあり、大人から子供までが楽しんでいます。雨でなければ、私共の施設内に午前11時40分頃にすみれ台子供会の子ども神輿が今年も来てくれることになっていました。
ご入居者が施設玄関前で子ども神輿をお迎えして、ご入居者に子ども神輿をみてもらい、子どもたちとわずかなふれあいを楽しんでもらう行事となるはずでした。来年までの楽しみのもちこしになりました。来年は雨が降らないことを願っています。
すみれ台秋祭りにはセントポーリア愛の郷の音楽療法士の中原大輔、大坪拓未、田邊繁子の3名が今年も歌の演奏をさせて頂きました。最後には「ふれあい喫茶すみれCAFE」のコーラス部の方と「ふるさと」を歌い大変盛り上がりました。
これからも地域に愛される特養として、活動を続けてまいります。 - 2017/09/24
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外国人による人材確保
現在の日本での外国人の受け入れは3通りあり、1つが経済連携協定(EPA)による介護福祉士候補者の受け入れです。2008年からインドネシア、フィリピン、ベトナムの順に受け入れています。2016年にインドネシアから233名、フィリピン276名、ベトナム162名 の合計671名が入国しています。ベトナムでは候補者に日本語能力試験N3以上を条件にしています。受け入れから10年目を迎えて過去最多の来日数となっています。ただし介護、看護人材の受け入れはEPAでは数を求めず厳格で少数にとどまっています。最長5年間の受け入れが可能です。
2つ目が外国人技能実習制度で、11月1日に介護が追加となりました。技能実習制度は農漁業、建設、食品、機械等の74業種約23万人を最長3年間受け入れています。30人以下の事業所も常勤職員数の10%まで受け入れ、優良職場では最長5年の在留も可能になります。在日するのに日常会話ができることが必要になります。
3つめが外国人の留学生の在留資格の条件に介護が追加になりました。介護福祉士取得を目指す留学生が急増しています。専門学校には今春591人の留学生が入学し、2012年と比較すると30倍となっています。専門学校の入学者は定員の50%を切り、2012年の入学者12,730人2017年には7258人と激減しています。このような中で外国人の入学者が全体の8.1%となり、国別ではベトナム364人、中国74人、ネパール40人、フィリピン35人、韓国23人となっています。
今後、この3つ目の外国人留学生が日本の施設で働くことが外国人材受け入れの主流になると思っています。
特に、私の私見ですが、やはり外国人留学生が日本語学校及び専門学校の4年間でN2レベルの日本語能力と日本の文化、風習、習慣などを学び、施設へ就職してくれるのが最良の道だと確信しています。 - 2017/08/24
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社会福祉法人緑峯会としての地域貢献事業の取り組み
認知症予防教室
私たち社会福祉法人緑峯会は地域に開かれた特別養護老人ホームとして、様々な活動を行っています。
その1つに認知症予防教室があります。この活動は、兵庫県より委託された事業で、年1回地元自治会の会員の皆さまを対象に、出来るだけお元気で、長生きしてほしいという願いも込めて行っています。厚生労働省の発表によると2025年には認知症を発症している人は700万人を超えて、65才以上の高齢者のうち5人に1人が認知症を患っていることになります。
認知症は脳細胞が破壊されておこる病気なので、発症すれば治すことができません。認知症は病気になるのは遅らせることはできます。認知症予防のための、食生活、運動等は大いに効果があると言われています。私たちは食生活の改善や提案、だれでも取り組める簡単な運動等を行っていただき、地域のすみれ台自治会や山口町中野地区の自治会の皆様に対して、予防教室を開催しています。 少しでも多くの人たちが認知症にならないで生活して頂くことを願って活動を行っています。 - 2017/07/24
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介護人材の確保
株式会社リクルートによると2017年5月1日時点での就職内定率は34.8%です。2016年7月1日は71.1%でしたので、2017年7月1日は更にこれよりも内定率は上がっているはずです。超売り手市場の中で、介護業界は大変な状況にあります。介護の団体が行う就職フェアは毎年参加人数が減っています。兵庫県内の介護専門学校の定員充足率も多いところで50%前後と言う状況からして当然の流れでもあります。
私の所属する兵庫県老人福祉事業協会では、昨年度より学生に就職フェアに足を運んでもらうのではなく、私たちが直接学校に出向き、就職案内のプレゼンテーションを行い、面と向かって学生に施設の説明及び紹介を行っています。
2025年には介護職員が37.7万人不足すると言われています。このような流れの中で、いかに介護業界に学生の皆さんに目を向けてもらえるかの新しい取り組みが必要になってきています。将来に渡って働くことのできる労働環境や生涯賃金の整備を行い、しっかりとした人生設計が描けるキャリア形成を学生の皆さんに提示していかねばなりません。又現在、介護現場勤務されている職員が夢を描くことができ、離職を防止することが最大の急務でもあります。 - 2017/06/24
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平成29年度兵庫県主催福祉・介護職員合同入職式
私が所属する「兵庫県老人福祉事業協会」の兵庫県への要望の中で、合同入職式の実施があります。
介護職員採用時には、各法人・施設ごとに入職式を行っていますが、県下採用者合同で入職式を開催し、知事からメッセージを頂く事で、新たに介護現場で働く者同士で働く事についての意識高揚を図っていきたく、兵庫県に要望書を提出しました。その結果、平成29年6月13日(火)13:00~16:20兵庫県公館大会議室で兵庫県主催のもと関係者約500名が出席し、盛大な入職式を行うことができました。当日は席に座れず、立見もでるほどの状況でした。
井戸敏三兵庫県知事のあいさつに始まり、来賓からの祝辞があり、新入職員代表としてあさひ保育園の千藤沙友里さんの答辞が読まれ、先輩職員からの激励の言葉を特別養護老人ホームセントポーリア愛の郷の音楽療法士・生活相談員の私共の職員である中原大輔が後輩に向けて自らのエピソードを交えながら、いかにこの仕事が素晴らしい奥の深いものであるかを話させて頂きました。そのあと後輩の大坪拓未音楽療法士とデュエットで新入職員に向けて歌のプレゼントを行いました。コブクロのヒット曲「YELL~エール~」を二人の素晴らしいハーモニーで聴かせてくれました。大げさでなく、感動で泣いている新人職員も多数いました。のちほど、井戸知事からも素晴らしい歌だとお褒めの言葉を頂きました。
その後、記念講演として元プロボクサーの長谷川穂積氏から「私の歩んだ道」というテーマでのお話がありました。努力し、努力をかさねて、さらに努力したあと幸運は舞い込むという話にはなるほどと納得しました。
次に第2部新人研修会が行われ、「仕事に役立つコミュニケーションのコツ」と題して人材育成コンサルタントの北川亜紀子氏の話があり、新入職員にとってみのり多い一日でした。このような試みに賛同して主催して頂いた兵庫県介護保険課の皆さんに感謝したいと存じます。ありがとうございました。 - 2017/05/24
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認知症ケアの技法としての「ユマニチュード」
現在、日本で注目されている認知症の技法の一つです。2011年にフランスから輸入されて、NHK等のテレビ番組でも報道されています。4つの柱からなる技法ですが、人と接する上で大切な接遇の観点からも取り入れても良いと思われます。まずは相手に安心感を持って、あなたを大切に感じていますよ、というシグナルを送ることはとても大事な要素となります。みつめて、ゆっくりやさしく話しかけ、手のぬくもりを伝えることは、相手が心を開いてくれる方法でもあります。 以下にユマニチュードの4つの柱をご紹介します。
1.ユマニチュード4つの柱・・・見る、話す、触れる、立つ①見る
同じ目線の高さで、20cmほどの近距離で、親しみを込めた視線を送る。認知症になると視野が狭くなるため、視界に入って存在を認識してもらう。見ないのはいないのと同じ
②話しかける
実況するように、ゆっくりと声かけをする。⇒心のかよった「ケア」反応が返ってこない方に対しても積極的に話しかけ、常にポジティブな言葉をかける。ケアするときも「今からお口の中をきれいにしますね。」「お口を開きます。さっぱりし ますよ。」など
③触れる
ケアをする時本人の背中や手を優しく包み込むように手のひらを使って触れることで、安心感を与える。この時忙しく無言で触れてしまうと逆効果で、本人に不信感を与えかねない。
④立つ
「自分の足で立つことで人の尊厳を自覚する」最低1日20分は立つことを目指す。立つことで、筋力の維持向上や骨粗鬆症の防止な ど、身体機能を保つ効果があるのと、他の人と同じ空間にいることを認識することで、「自分は人間なのだ」という実感にもつながる。2.ユマニチュードでNGな行動○腕などを突然「つかむ」
○視界に入りにくい「横や後ろ」から声をかける。
○無理やり立たせようとする。3.ユマニチュードの効果認知症の人を「病人」ではなく、あくまで「人間」として接することで、認知症の人と介護者に信頼関係が芽生え、周辺行動が改善する効果があります。
兵庫県における第7期介護保険事業支援計画
平成30(2018)年度から平成32(2020)年度までの3年間の第7期計画が策定され、いよいよ4月1日から実施されます。兵庫県の高齢者人口は平成32年には前期高齢者が759,922人、後期高齢者が811,522人と推計されています。又、要介護認定者は平成32年には324,031人と見込まれて、特に要介護2以上の割合は47.1%となっています。認知症高齢者は平成32年には27万人から29万人の間と予測されています。このような中で、推進対策として以下の項目が掲げられています。
1.地域包括ケアシステムの深化・推進を行う。
高齢者の自立支援・重度化防止に向けた取り組みを行い、医療・介護の連携を推進し、地域共生社会の実現を目指すことになります。
2.2025年を見据えた人材確保を行う。
介護離職ゼロに向けて、介護をしながら仕事を続けることができるアシスト体制を整備し、介護人材の確保及び資質の向上を果たしていくことになります。
基本目標のキーワードとして自立・安心・連帯・システムが掲げられていますが、全てはハードよりもソフトである人の確保が最大の課題となると思います。