tnj
- 2022/02/28
- 2020/03/24
-
感染症対策
私共のような特別養護老人ホームでは、ご入居頂いている方々は年齢が80才以上の方がほとんどであり、何らかの疾患をお持ちになっています。感染症に対して抵抗力が弱い高齢者が生活の場として集団生活をされています。そのような中で、感染の被害を最小限に食い止めることが大切になってきます。高齢者介護施設における感染予防は病原体を①持ち込まない②持ち出さない③拡大させない、が基本になります。感染経路を遮断するために
①施設に入る前にまず職員が検温する。
②施設に入る時やケアの前後に手指消毒、流水による手洗いを行う。
③血液、体液、嘔吐物、排泄物、を扱う時は、手袋着用、マスク、エプロン、ガウンを着用する。
④居室・環境整備をしっかり行い清潔を保持する。
インフルエンザ、ノロウイルス、疥癬、結核、肺炎等、感染症別のマニュアルに従って、発生時はすみやかに対応しなければなりません。その為、年に数回の研修により職員への徹底も必要となります。例えば、インフルエンザ対策として
①平常時の予防
・ワクチン接種・清潔の保持と換気の徹底
・咳エチケットを守る
・休養とバランスのよい体とこまめな水分補給
②感染の疑い
・疑いのある人、ケアをする職員のマスク着用
・医師の治療
・個室対応
最も大切なものはウイルスの持ち込み防止です。入居者の健康状態を把握してワクチンの予防接種を行い、家族の面会時の検温やマスクの着用、職員のワクチン接種と健康管理が必要です。最後に、現在猛威を振るいつつある新型コロナウイルス対策として、職員の健康管理が特に大切と思います。これこそ外部からの持ち込みだからです。
- 2020/02/04
-
高齢運転者による交通死亡事故
2019年の交通事故による死者数は3215人でした。警察庁のまとめによると年々減少傾向にあります。65才以上の高齢者の死者数は1782人で全死者数の55%を占めています。交通事故数は減少していますが、高齢者による交通事故の割合は増加しています。75才以上の高齢運転者による死亡事故は75才未満の人に比べて車両の単独の事故が多く、特に物による衝突事故が21%を占めています。75才以上の高齢運転者の死亡事故の原因の31%が操作不適で、33%が運転操作ミスです。このうちハンドル操作ミスとブレーキとアクセルの踏み間違いが多くあります。
現在、免許を返納する動きが高まっていますが、自主返納制度は運転免許を返納すると運転がまったくできなくなります。免許返納後の生活を支える取組みが各自治体で広がりつつあります。タクシー乗車の割引や観光バスツアーの割引などがあります。17年に道路交通法が改正されて、高齢運転者の交通事故を防止するため75才以上の運転者は免許更新時に認知機能検査を受けることを義務づけられています。
今後は、自主返納後の取り組みとして、安全運転サポート車のみ運転できる限定免許の創設等が、特に必要と思われます。つまり、移動手段を保障する取り組みが急がれます。又、自動運転等によって買い物や旅行などがスムーズに出来たり、万が一の病気などの受診にも対応出来て、かつ交通事故を防ぐ取り組みも少子高齢化社会では特に大切になってくると思います。
- 2019/09/30
-
外国人介護人材受入れの多様性
外国人介護人材の受入れは今まではEPAによるものだけでした。しかしこの2年間で在留資格「介護」技能実習、特定技能1号が加わり4つの受入れルートが出来ました。- EPA(経済連携協定)は2国間の経済連携の強化を目的としています。インドネシア・フィリピン・ベトナムの3ヶ国から2008年から2018年の10年間でのべ4302人の候補者を受入れています。介護福祉士候補者として入国し介護福祉士養成施設で2年以上又は介護施設等で就労・研修を3年以上受けて介護福祉士国家試験に合格し、介護福祉士として業務従事します。10年間で981人が合格しています。
- 在留資格「介護」は2018年12月で185人に在留資格が与えられています。介護福祉士養成校に入学して2年以上勉強し、介護福祉士の資格を取得します。養成施設への入学は2016年度257人、2017年度591人、2018年度が1142人と増えています。2017年9月より実施されています。
- 技能実習については2019年3月で1819人の技能実習計画が決定されています。外国への技能移転を目的にした技能実習制度が介護にも追加されました。2017年11月よりスタートしています。介護施設等で最大5年間実習を受け入国1年後に技能評価試験を受検、3年後にも技能評価試験を受検します。5年後に帰国することになります。3年以上の就労期間を経れば特定技能1号に転換できます。又在留資格介護へ転換することができるように働きかけています。
- 特定技能1号は2019年4月よりスタートしました。知識や経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格で日本語能力水準を試験で確認して入国となります。介護施設等で通算5年間働くことができます。特定技能1号は技能実習の上位に位置づけられています。特定技能2号は介護福祉士国家試験に合格した在留資格「介護」の資格と同等とみなされる。
2018年12月8日に改正出入国管理法が成立し、2019年4月1日から施行されています。これにより外国人介護人材の在留資格は、これまでの①経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補生、②留学から介護福祉士資格を得て介護現場で働く人(在留資格「介護」)、③外国人技能実習生に、4つめの「特定技能」が加わりました。なお、特定技能には1号・2号があり、2号の場合は家族の帯同ができ、永住も可能となる在留資格ですが、介護分野については2号は②の在留資格「介護」と同等レベルとみなされ、存在しません。法務省では「特定技能1号」の在留資格で3年以上介護施設で就労後、実務者研修を受講し、介護福祉士試験に合格した場合は②の在留資格「介護」と認める省令改正の準備を進めているほか、過去にEPAで入国し、介護福祉士国家試験で不合格となって帰国した人については、4年間以上の就労経験等、一定の条件があれば、特定技能1号として認めることとなりました。
多様化する受入れの仕組みにより、より多くの外国人を受け入れ、介護業界の人手不足を補うことができればと思っています。ただ、外国人労働者が定着するために、地域での受け入れがスムーズにいき、生活者として溶け込むことへの配慮が必要です。生活していくうえでの相談窓口や、不安を取り除く方策、又安心安全に暮らしていける地域コミュニティー力が大切だと思います。もちろん、日本語で生活するからには、最低限の会話力や、職場でのコミュニケーション能力をアップする機関も必要となってきます。ただ採用するだけでなく、彼らがいきいきとして働くことのできる職場環境や、地域の支えが1番大切な要素となります。
- 2019/07/03
-
老後資金2000万円問題
「老後資金は2000万円が必要」というデータは、総務省の「家計調査」にもとづき金融庁金融審議会が根拠とした数字です。
「高齢社会における資産形成・管理」という金融庁の報告書によると、夫が65才以上で妻が60才以上の無職世帯が年金によって生計を立てる場合は、毎月5万円の赤字により5万円×12ヶ月×30年=1800万円 約2000万円が不足するという計算が出ました。夫が95才まで、妻が90才まで生きたと仮定してはじき出された数字です。統計による数字からスタートして、高齢化社会にどう対処するかという議論までこの際進めるべきだと思っています。高齢者がいつまでも元気で、働き続けることのできる社会作りが必要となっています。
2025年には高齢者5人に1人が認知症になるという推計が出ています。2018年の65才以上の高齢者数は3557万人で全人口の28.1%を占めています。認知症にならない社会、認知症を遅らせる機会作りによって、高齢者の皆さんが元気に暮らせる地域を創造することで、未来に安全・安心な誰もが希望のもてる社会になります。金融庁の報告書では、不足額は収入や支出の状況によって、又生活様式でその金額が異なると指摘しています。
高齢化社会に備えて個人がそれぞれの資産形成や管理に興味をもってもらうことも目的の1つとして金融庁は数字を公表したものと思われます。この報告書をきっかけに個人が資産形成を考えるようになっています。ネット証券では20~40代の現役世代を中心に運用益が非課税の少額投資非課税制度(NISA)の申し込みが急増しています。ただ、不安だからといって知識のないまま投資を始めるのはよくないと思います。金融面だけでなく、認知症対策、住宅、医療、介護など老後のテーマを国民全体で議論していく必要をあらためて感じました。
- 2019/06/13
-
令和元年
新元号は、[万葉集]の梅花の歌から採用されました。万葉集は奈良時代に様々な階層の人たちが詠んだ歌が約4500首収められています。令和の意味が首相官邸で発表されましたが、「春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように一人ひとりが明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたい」との願いを込め決定されたそうです。梅花の歌の本文は「初春の令月にして、気淑く風和らぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後(はいご)の香を薫す」とあります。
この歌は梅の開花とともに春の訪れを喜ぶ内容となっています。元号で「令」という文字が今回はじめて使われました。Rという外国人にも発音しやすいインターナショナルな響きのあるすばらしい元号だと思います。令和元年は2019年5月1日に始まり12月31日に終了します。明日への希望と日本国民一人ひとりが大きな花を咲かせたいという願いが込められた新元号と共に、私自身新たな一歩を力強く歩む決意をあらたにしました。
- 2019/03/26
-
特定処遇改善加算
厚生労働省は平成30年10月31日の社会保障審議会で、平成31年10月の消費税率引き上げ分を財源に実施する介護人材の更なる処遇改善にについて、現在の処遇改善加算とは別に新加算を設ける案を提出した。
平成31年2月13日に開かれた介護給付費分科会で10月の消費税率引き上げに伴う介護報酬改定を了承した。特定処遇改善加算では事業所内に月8万円以上の改善、又は年収440万円以上となるベテラン介護職員が必ず1人いることとなった。特養の加算率は2.7%で、日常生活維持加算やサービス提供体制加算等を取得していることが条件となっている。10月の特養の介護報酬の改定率はプラス0.39%で、消費税率10%への引き上げによる事業所負担を補てんする。又、特別養護老人ホーム等の入居者の食費・居住費の基準費用額が10月から増額される。食費の日額は1380円から1392円に12円上がる。月額で361円の増加となる。居住費は特別養護老人ホームのユニット型個室で1970円から2006円と36円の増加となる。月額で1083円の増加となる。ただ、食材料費や調理委託費の高騰、大規模修繕にかかる整備費の上昇などにより、軽費がかさんでおり、値上げはありがたいがまだまだ足りないのが現状である
処遇改善の新加算、事業所内での配分は3パターン
厚生労働省は11月22日の介護給付費分科会で、新たな介護職員処遇改善加算(新加算)を各事業所内で配分する場合について、3つのパターンを示した。厚労省は「事業所内での配分に当たって、①経験・技能のある介護職員、②他の介護職員、③その他の職種の順に一定の傾斜の設定等を行うこととした場合、以下のA~Cのような配分が可能となる」とし、A・B・Cの3パターンを図示した。Aは、経験・技能のある介護職員に全て配分するパターン。Bは、経験・技能のある介護職員に加え、他の介護職員に配分するパターン。Cは、経験・技能のある介護職員、他の介護職員に加え、その他の職種に配分するパターン。
■「A・B・Cのいずれもありで、どれか1つを選ぶ提案ではない」
厚労省の説明によると、ABCのいずれを採用するかは各事業所の判断に委ねられる方針だが、この日の議論は「A、B、Cのいずれの案が妥当か」という方向で展開された。会議終了後、厚労省の担当者は記者らに対し、「誤解されてしまったようだが、A、B、Cのいずれもありで、どれか1つを選んでほしいという提案ではない」と説明した。
■全て配分する場合でも、「8万円満額の賃上げになるとは限らない」
3パターンの中で、Aは「10年以上で8万円」の賃上げが最も実現しやすい。ただ、経験・技能のある介護職員が多い「サービス類型」であるかによって財源の配分が異なるという前提があるため、厚労省の担当者は「Aを採用する事業所に勤務したとしても、8万円満額の賃上げになるとは限らない」と話している。また、BやCを採用する事業所の場合には、「8万円」部分を取り崩して他に配分するため、8万円満額の賃上げを実現することは難しい。
- 2019/02/24
-
インフルエンザ予防薬の投与
インフルエンザが猛威を振るっています。厚生労働省が平成31年2月8日に1週間にかかった患者数で病院に行った人数が166万9000人となったと発表しています。
兵庫県は淡路島の養護老人ホーム「北淡荘」での集団インフルエンザ感染に対して、抗インフルエンザウイルス薬を予防投与するように助言しました。ご入居者が予防薬服用後はほとんど感染が拡大しなかったようです。
抗インフルエンザ薬の予防投与はインフルエンザ患者との接触から36時間以内に受けられれば最も効果を発揮させることができるとも言われています。ですから、一緒に住んでいる家族や同居人がインフルエンザに感染してしまい、患者を看病する必要がある場合などには、抗インフルエンザ薬の予防投与を検討すべきでしょう。
インフルエンザの治療に使われる抗インフルエンザ薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)は4種類。そのうち、点滴薬のラピアクタ(一般名:ペラミビル)を除いた3種類、すなわち、経口薬のタミフル(一般名:オセルタミビル)、吸入薬のリレンザ(一般名:ザナミビル)、吸入薬のイナビル(一般名:ラニナミビル)は、インフルエンザの予防に使うことが認められています。
商品名
タミフル
薬の種類
経口薬
予防投与の用法・用量
大人
1回75mg(1カプセル)を1日1回7~10日間
子ども
1回2mg/kg(最大75mgまで)を1日1回10日間
薬剤費
(実費)大人
1,981~2,830円
子ども
最大6,100円(ドライシロップの場合)
商品名
リレンザ
薬の種類
吸入薬
予防投与の用法・用量
大人
1回10mg(2ブリスター)を1日1回10日間
子ども
大人と同じ
薬剤費
(実費)大人
3,058円
子ども
大人と同じ
商品名
イナビル
薬の種類
吸入薬
予防投与の用法・用量
大人
1回40mg(2キット)を1回、または1回20mg(1キット)を1日1回2日間
子ども
10歳以上は大人と同じ、10歳未満は1回20mg(1キット)を1回
薬剤費
(実費)大人
4,280円
子ども
10歳以上は大人と同じ、10歳未満は2,140円
ただ残念ながら、予防薬は保険適用外で自己負担となっています。抗インフルエンザ薬の予防投与を受けるには、原則として、(1)家族など同居する人がインフルエンザにかかっていることに加えて、(2)かかった場合に重症になりやすい人であること、具体的には以下のいずれかの条件に当てはまる必要があります。
【インフルエンザにかかった場合に重症になりやすい人】
- 65歳以上の高齢者
- 気管支喘息など慢性の呼吸器疾患がある
- 心不全など慢性の心臓病がある
- 糖尿病などの代謝性疾患がある
- 腎臓病がある
上記の条件を満たす人には保険適用をすみやかに実施すべきだと考えます。
-
インフルエンザA型の流行
今年、日本で発生しているインフルエンザはA型が多いです。インフルエンザA型の症状の特徴は
- 38℃以上の高熱
- 関節痛
- 筋肉痛
- 全身倦怠
- 頭痛
特に、子供や高齢の方はインフルエンザにかかると、重症になる危険性が高くなるため注意が必要です。インフルエンザの警報レベルや注意報レベルとは国立感染症研究所が発表するインフルエンザの流行のレベルを表す目安です。国立感染症研究所では全国約5000の医療機関で、一週間に受診した1医療機関当たりの患者数をもとに10人を超えると注意報レベルで、30人を超えると警報レベルとなります。1月18日現在、全国では38.54人で警報レベルの30人を超えています。全国で163万人の患者が医療機関を受診しています。兵庫県では35.21人となっています。
インフルエンザと風邪の違い。
風邪 インフルエンザ 発症時期 1年を通じ散発的 冬季に流行 主な症状 上気道症状 全身症状 症状の進行 緩除 急激 発熱 通常は微熱(37~38℃) 主症状
(発熱以外)・くしゃみ
・喉の痛み
・鼻水、鼻づまり など・咳・喉の痛み・鼻水
・全身倦怠感、食欲不振
・関節痛、筋肉痛、頭痛 など原因ウィルス ライノウイルス、コロナウイルス、
アデノウイルス などインフルエンザウイルス セントポーリア愛の郷では、職員が手洗いやマスクの着用を行い、インフルエンザに対する予防を行っております。また、インフルエンザウイルスは乾燥に強く、感染を防ぐ方法の1つとして適度な温度と湿度を保つことが重要だと言われています。施設内では加湿器を使用し、室内の湿度を45%~60%に保ち、ウイルスの拡散を防いでおります。職員は全員、ご入居者はほぼ全員がインフルエンザの予防接種を受けております。今後も飛沫感染と接触感染に対して最大限の注意を払い、日常生活の中で出来る予防法を徹底して行っていきます。安心で安全な施設の環境維持を推進してまいります。
- 2019/01/24
-
身体拘束廃止による虐待防止へ
近年施設職員による入居者への虐待が話題になっています。原因にはいろいろ考えられますが、まず第一に虐待のあった施設の理念の浸透が職員に図れていたのかが問題です。
施設にはその法人の目指す理念、思想があります。何故施設が存在しているのか、施設は何を目標としているのかを職員に周知しなければなりません。つまり経営者のポリシーを明確にしているかが問われます。又、この仕事におもむいた時の職員の気持ち、初心を忘れさせないように導くことも大切です。つまりこの仕事に対する誇り、プライド、楽しさ、やりがいの共有がチームとして必要です。
私は身体拘束が虐待に繋がっていくと強く思っております。ちなみに、セントポーリア愛の郷では身体拘束はゼロを継続しております。さて、以下に身体拘束について少し述べさせていただきます。
①身体拘束に関する定義
以下の11項目が行動を制限する行為として身体拘束にあたります。- 徘徊しないように、車いすやベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
- 転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
- 自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む。
- 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る。
- 点滴・経管栄養のチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。
- 車いすやいすからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける。
- 立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるようないすを使用する。
- 脱衣やオムツ外しを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる。
- 他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る。
- 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
- 自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する。
②身体拘束を行う場合は以下の3条件をクリアーしなければなりません。つまり3つの条件を全て満たさなければ身体拘束は出来ません。
- 切迫性:利用者本人又は他者の、生命又は身体が危険となる可能性が、著しく高いこと
- 非代替性:行動制限以外に、代替となる介護方法が無いこと
- 一時性:行動制限が一時的であること
〈留意事項〉
- 「緊急やむを得ない場合」の判断は、担当職員個人又はチームで行うのではなく、施設全体で判断することが必要である。
- 身体拘束の内容、目的、時間、期間などを高齢者本人や家族に対して十分説明し、理解を求めることが必要である。
- 介護保険サービス提供者には、身体拘束に関する記録の作成が義務付けられている。
③指定介護老人福祉施設サービスの取り組み指針として以下の事が明記されています。
第11条第5項
指定介護老人福祉施設は、前項の身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。
④身体拘束廃止未実施の場合は減算の対象となります。(2018年4月1日より)
厚生労働大臣が定める基準(態様及び時間、心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録すること)を満たさない場合は、身体拘束廃止未実施減算となります。(1日につき5単位を所定単位から減算)
⑤身体拘束廃止を推進するための取り組みとしては以下の8項目があげられます。
- 「身体拘束を行わない」方針を明確にする。
- 「緊急やむを得ない」場合について厳密に検討する。
- 利用者の状態を把握し、身体拘束の危険性を検討するための仕組みをつくる。
- 身体拘束に関わる手続きを定め、実行する。
- 認知症ケアに習熟する。
- 施設内外で学習活動を行い、施設全体に浸透させる。
- 家族の理解に努める。
- 廃止のための取り組みを継続する。
⑥組織全体の取組として以下のことが求められます。
- トップの身体拘束廃止に対する姿勢が大切です。
- 施設全体の意思統一(研修会等)を行う事が大切です。原則身体拘束を行わないことと、拘束される側の気持ちを考えます。
- 認知症の行動・心理状況の原因・誘因は何かを考えます。代替策はあるかを考えます。実施・評価、拘束時間の縮小を考えます。
- 身体拘束廃止委員会を実施します。施設全体としての客観的視点を考えます。成功事例の積み重ね(学び、自信、応用)を検討します。
介護職員処遇改善補助金
厚生労働省は令和4年2月から9月までの8か月間にわたって、介護職員の処遇改善を図る目的で介護職員処遇改善補助金を支給する事を決めました。10月以降は新処遇加算が創設されます。これにより標準的な職員配置の特別養護老人ホームでは、介護職員1人当たりの月額が9000円相当の補助金となります。事業所の判断で介護職員以外のその他の職員の処遇改善の補助金にあてることができますが、補助額が月毎に決まっていますので支給人数が増えればその分月額は9000円より減少します。又事業所は月毎の加算額の2/3以上を基本給か毎月決まって支払う手当の引き上げに使わなければなりません。今までの介護職員処遇改善加算は事業所で働く介護職員が対象でしたが、新処遇改善加算は介護職員以外の職員の賃上げも出来ますので、それぞれの専門職がご入居者・ご利用者の満足のいく生活を手助けしていますので、本当にありがたいと思っています。特養の平均給与は「令和2年度介護従事者処遇状況調査結果」では35万430円となっています。平成31年では33万2320円ですので、約2万円給与がアップしています。年収も平均で約420万円になっており、それなりの給料を手に入れることができるようになりました。今回も月額9000円が上がり、年収も430万円と10万円程度アップします。
多くの人たちに是非特養で働いてもらえれば、人材不足の解消となります。今まで未知の世界である介護業界へ足を踏み入れてくれればと願っています。