老後資金2000万円問題
「老後資金は2000万円が必要」というデータは、総務省の「家計調査」にもとづき金融庁金融審議会が根拠とした数字です。「高齢社会における資産形成・管理」という金融庁の報告書によると、夫が65才以上で妻が60才以上の無職世帯が年金によって生計を立てる場合は、毎月5万円の赤字により5万円×12ヶ月×30年=1800万円 約2000万円が不足するという計算が出ました。夫が95才まで、妻が90才まで生きたと仮定してはじき出された数字です。統計による数字からスタートして、高齢化社会にどう対処するかという議論までこの際進めるべきだと思っています。高齢者がいつまでも元気で、働き続けることのできる社会作りが必要となっています。
2025年には高齢者5人に1人が認知症になるという推計が出ています。2018年の65才以上の高齢者数は3557万人で全人口の28.1%を占めています。認知症にならない社会、認知症を遅らせる機会作りによって、高齢者の皆さんが元気に暮らせる地域を創造することで、未来に安全・安心な誰もが希望のもてる社会になります。金融庁の報告書では、不足額は収入や支出の状況によって、又生活様式でその金額が異なると指摘しています。
高齢化社会に備えて個人がそれぞれの資産形成や管理に興味をもってもらうことも目的の1つとして金融庁は数字を公表したものと思われます。この報告書をきっかけに個人が資産形成を考えるようになっています。ネット証券では20~40代の現役世代を中心に運用益が非課税の少額投資非課税制度(NISA)の申し込みが急増しています。ただ、不安だからといって知識のないまま投資を始めるのはよくないと思います。金融面だけでなく、認知症対策、住宅、医療、介護など老後のテーマを国民全体で議論していく必要をあらためて感じました。