認知症ケアの技法としての「ユマニチュード」
現在、日本で注目されている認知症の技法の一つです。2011年にフランスから輸入されて、NHK等のテレビ番組でも報道されています。4つの柱からなる技法ですが、人と接する上で大切な接遇の観点からも取り入れても良いと思われます。まずは相手に安心感を持って、あなたを大切に感じていますよ、というシグナルを送ることはとても大事な要素となります。みつめて、ゆっくりやさしく話しかけ、手のぬくもりを伝えることは、相手が心を開いてくれる方法でもあります。 以下にユマニチュードの4つの柱をご紹介します。
①見る
同じ目線の高さで、20cmほどの近距離で、親しみを込めた視線を送る。認知症になると視野が狭くなるため、視界に入って存在を認識してもらう。見ないのはいないのと同じ
②話しかける
実況するように、ゆっくりと声かけをする。⇒心のかよった「ケア」反応が返ってこない方に対しても積極的に話しかけ、常にポジティブな言葉をかける。ケアするときも「今からお口の中をきれいにしますね。」「お口を開きます。さっぱりし
ますよ。」など
③触れる
ケアをする時本人の背中や手を優しく包み込むように手のひらを使って触れることで、安心感を与える。この時忙しく無言で触れてしまうと逆効果で、本人に不信感を与えかねない。
④立つ
「自分の足で立つことで人の尊厳を自覚する」最低1日20分は立つことを目指す。立つことで、筋力の維持向上や骨粗鬆症の防止な
ど、身体機能を保つ効果があるのと、他の人と同じ空間にいることを認識することで、「自分は人間なのだ」という実感にもつながる。
○腕などを突然「つかむ」
○視界に入りにくい「横や後ろ」から声をかける。
○無理やり立たせようとする。
認知症の人を「病人」ではなく、あくまで「人間」として接することで、認知症の人と介護者に信頼関係が芽生え、周辺行動が改善する効果があります。