インフルエンザ予防薬の投与
インフルエンザが猛威を振るっています。厚生労働省が平成31年2月8日に1週間にかかった患者数で病院に行った人数が166万9000人となったと発表しています。
兵庫県は淡路島の養護老人ホーム「北淡荘」での集団インフルエンザ感染に対して、抗インフルエンザウイルス薬を予防投与するように助言しました。ご入居者が予防薬服用後はほとんど感染が拡大しなかったようです。
抗インフルエンザ薬の予防投与はインフルエンザ患者との接触から36時間以内に受けられれば最も効果を発揮させることができるとも言われています。ですから、一緒に住んでいる家族や同居人がインフルエンザに感染してしまい、患者を看病する必要がある場合などには、抗インフルエンザ薬の予防投与を検討すべきでしょう。
インフルエンザの治療に使われる抗インフルエンザ薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)は4種類。そのうち、点滴薬のラピアクタ(一般名:ペラミビル)を除いた3種類、すなわち、経口薬のタミフル(一般名:オセルタミビル)、吸入薬のリレンザ(一般名:ザナミビル)、吸入薬のイナビル(一般名:ラニナミビル)は、インフルエンザの予防に使うことが認められています。
商品名 |
タミフル |
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薬の種類 |
経口薬 |
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予防投与の用法・用量 |
大人 |
1回75mg(1カプセル)を1日1回7~10日間 |
子ども |
1回2mg/kg(最大75mgまで)を1日1回10日間 |
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薬剤費 |
大人 |
1,981~2,830円 |
子ども |
最大6,100円(ドライシロップの場合) |
商品名 |
リレンザ |
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薬の種類 |
吸入薬 |
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予防投与の用法・用量 |
大人 |
1回10mg(2ブリスター)を1日1回10日間 |
子ども |
大人と同じ |
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薬剤費 |
大人 |
3,058円 |
子ども |
大人と同じ |
商品名 |
イナビル |
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薬の種類 |
吸入薬 |
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予防投与の用法・用量 |
大人 |
1回40mg(2キット)を1回、または1回20mg(1キット)を1日1回2日間 |
子ども |
10歳以上は大人と同じ、10歳未満は1回20mg(1キット)を1回 |
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薬剤費 |
大人 |
4,280円 |
子ども |
10歳以上は大人と同じ、10歳未満は2,140円 |
ただ残念ながら、予防薬は保険適用外で自己負担となっています。抗インフルエンザ薬の予防投与を受けるには、原則として、(1)家族など同居する人がインフルエンザにかかっていることに加えて、(2)かかった場合に重症になりやすい人であること、具体的には以下のいずれかの条件に当てはまる必要があります。
【インフルエンザにかかった場合に重症になりやすい人】
- 65歳以上の高齢者
- 気管支喘息など慢性の呼吸器疾患がある
- 心不全など慢性の心臓病がある
- 糖尿病などの代謝性疾患がある
- 腎臓病がある
上記の条件を満たす人には保険適用をすみやかに実施すべきだと考えます。