離職した介護人材の再就職支援
平成29年12月時点の介護分野の有効求人倍率は4.22倍で全産業の1.52倍に比べてはるかに高い数字となっています。
介護人材のボーナス、手当を含んだ平均賃金は27.4万円(41.3才、勤続6.4年)です。全産業の40.9万円(42.5才、勤続12.1年)に比べてかなり少ない給与となっています。この介護人材の賃金を平成29年12月8日に閣議決定した人づくり革命による介護人材の処遇改善によって全産業並みの賃金に引き上げられる可能性が出てきました。その内容は以下の文章となっています。
『介護職員などの処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めることを前提に、介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に、公費1000億円程度を投じ、処遇改善を行う。また、障害福祉人材についても、介護人材と同様の処遇改善を行う。
(実施時期)
こうした処遇改善については、消費税率の引き上げに伴う報酬改定において対応し、2019年10月から実施する。』となっています。
このように、27.4万円+8万円=35.4万円になって初めて、全産業の平均賃金に近づき離職した介護職員の再就職と約45万人いるといわれる潜在介護福祉士の活用が可能になると思われます。
介護福祉士の登録者数は全国で1,085,994人。そのうち従事者は634,175人で約45万人が介護職に就いていません(2012年調査)。何故45万人が復職しないのか。
辞めた理由は
①職場の人間関係(24.7%)
②理念やの運営のやり方に不満(23.3%)
③収入が少ない(17.6%)
④将来に不安(15.1%)
逆に仕事を選んだ理由は
①働き甲斐がある仕事
②今後もニーズがある
③資格が活かせる
つまり、介護人材の多くは働き甲斐を求めて就職しても、人間関係や給与の安さによって離職しています。
処遇改善を果たすことによって約15万人の潜在介護福祉士が現場復帰を果たす可能性があります。現在行われている「ハローワークや福祉人材センターにおけるマッチング支援の実施」などを通じて介護施設の求人開発や就職相談に対応出来るキャリア支援専門員の配置による介護人材の再就職フォローアップ体制が功を奏することを期待しています。